Sasayaki diary

日常の風景や生活の一場面などをささやくように綴っていこうと思います。

これはボクのフォークです 1

 

  2001年の7月末から8月初めにかけて、

国際会議出席のために

アメリカ合衆国の西海岸、

カリフォルニア州バークレー(Berkeley)に

行ってきました。

会場はカリフォルニア大学バークレー校、

UCバークレーなどと呼ばれたりもしています。

バークレーは急な坂や霧、ケーブルカーの町として

有名です。

 

  滞在中のある日の夕食に、中華料理店に入りました。

海外出張の折り、現地の食事が体に合わないことも

ございます。

“体に合わない”と申しますのは、口には合うのですが

だんだんと胃袋が受け付けなくなってきてしまうという、

とても寂しい状況なのでございます。

そのような時に中華料理は、胃袋にも比較的に穏やかで

味を大きく外すことも少ないので

出張中の体調維持にとても助かります。

知らずにうっかり脂っぽい現地の料理を食べてしまって、

せっかくの滞在中に数日間も胃が重くなるような事態は

避けたいものでございます。

 

  その日、その中華料理店では、

汁そばとチャーハン、そして一品料理を

頼んだ気がします。

まあ、ずいぶん前のことなものですから、

細部の記憶が定かではないことはご勘弁ください。

 

  ボクは食事をする際に介助が必要なのですが、

食事用装具を着ければ、ある程度は自力で食べることも

できちゃうのです。

その時は装具を着けて、食べたのでした。

麺でしたので、もちろんフォークを使います。

 

  このフォークは、元は市販のありふれた

フォークでしたが、

使いやすくするために、途中で曲げてあります。

うちでは“超能力フォーク”と呼んでおります。

もちろんスプーンも、超能力スプーンなのです。

 

  [写真:食事用装具本体と“超能力”フォーク]

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  [写真:食事用装具に“超能力”フォークを付けたところ] 

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  外食の際、装具で食事を済ませたあとで少しだけ

やっかいなのは、

使ったフォーク(またはスプーン)の後片付けなので

ございます。

いくら綺麗に舐め回したとしましても、

唾液は付いているわけですし、

次回の食事でそれをそのまま使うのは衛生的ではありません。

さすがにそのまま使ったことも、まだございません。

せめて店内の洗面所で洗ってきてもらうか、

ティッシュでくるんで持ち帰り、

ホテルの部屋で妻に洗ってもらったり致します。

 

  ただ、この時は違いました。妻との話で

 「そうだ、お店で洗って貰っちゃえば、

  部屋に戻ってから楽だね!」

ということになりまして、女性店員に

 「これはボクのフォークなんです。

  そちらで洗って下さいますか」

  This is my fork. Could you please wash it?

と頼んでみたのです。店員さんはにっこりと微笑んで、

 「もちろん、問題ないですよ」

  Of course, no problem!

と言って、厨房に消えていきます。

 「お願いしてみて良かったな」

と、ほっと一息。ところが、であります。

さっと洗って、すぐに持ってきていただけるはずの

フォークが・・・戻ってこないのです。

不安になって妻と顔を見合わせた途端、

  ドンドンドンドンドン、

と何かを強く叩くような音が。

しかもあろうことか、厨房の方向から聞こえてくるのでございます。

 「何だろう、フォークを洗っていられないような事態に

  なっちゃってるんじゃないだろうな、まさかな」

とは思いながらも、心配になって参ります。

・・・(続く)