Sasayaki diary

日常の風景や生活の一場面などをささやくように綴っていこうと思います。

これはボクのフォークです 2

 

 先日の拙文、

  「これはボクのフォークです 1」 (20150215)

の続きでございます。

 

  海外出張中の中華料理店での夕食直後のことです。

食事に使った“超能力フォーク”を洗ってもらおうと

店員にお願いしたのでございます。

するとしばらくして、

フォークを持っていった厨房から

  ドンドンドンドンドン、

と何かを強く叩くような

怪しい音が聞こえてきたのでした。 

心配になって参ります。

 

  そこで、フォークを預けた女性店員に、

 「あのう、先ほど洗って下さいと言って預けた

  ボクのフォークは

  どうなっているのでしょうか?」

と、恐るおそる聞いてみます。すると女性店員は、

 「えっ」

と言うなり、小走りで厨房に消えていくでは

ありませんか。

いよいよ雲行きが怪しくなって参りました。

鼓動がドキドキと早まってきます。

 

 「これのことですか?」

  Is this?

戻ってきた女性店員の手には普通のまっすぐなフォーク。

 「いえいえ、それではなくてですね、曲げてあるフォークですよ、

  先ほどお渡しした、・・・」

  No, No, this is not mine. The fork which I have

  handed to you ...

 「いえ、それがこれです」

  Yes, it is. This is it.

きょとんとして、呆気にとられるボク。店員いわく、

 「先ほどお客様が間違えて曲げられたと

  聞いたものですから、

  厨房でまっすぐにさせていただきました」

 「えっと、どういうことですか、それは?」

 「先ほどお客様が仰ったじゃないですか、

  これは私の間違いでと。

  間違えて曲げてしまったんですよね」

  You said, this is my fault...

 「えええええ、ボクのフォークと言ったんですよ、

  間違いと言ったのではないです!」

  eeeeh, I said, this is my FORK, not FAULT!

と言ったところで時すでに遅く、大事な超能力フォークは、

人力でありふれた普通のフォークに戻されて

しまっております。

頭がくらくらして参ります。

 「申し訳ありません」

と謝っては下さいましたが、もう後の祭り、

どうしようもありません。

 

  中華料理店を暗い気持で後にしました。

もちろん、滞在中に手で上手に曲げ直すことなど

できるものではございません。

残された超能力スプーンを使って

あとの日々の食事をしたのでありました。

 

  帰国後、新しくフォークを仕入れ、

馴染みの作業療法士の方に曲げていただきました。

 

教訓:英語圏で洗うのを頼むのは、

   スプーンにすべきでございました。