恩師の言葉
「(間違ったぐらいで)depress(がっかり) しちゃダメだよ」
ボクが修士課程の大学院生だった時、
修士論文の計算を進めていた頃に
指導教官の恩師がかけてくれた言葉でございます。
複素解析が得意なつもりでいたボクは、
計算の途中に出てきた
とある複素積分をきちんと解いたと思って
その恩師と議論していたのでした。
ところが、ゼロになると思っていた遠方での振る舞いが、
ゼロになっていなかったことを指摘されたのです。
計算は間違いでした。積分は発散していました。
がっくりきたのでございます。
しょげているボクに
かけてくれたのが、上記の言葉でございます。
恩師は続けて、
“ほら、この式で発散の仕方がわかるでしょ”
とおっしゃいます。
間違いからでも正しい箇所から
何かを得ようという姿勢が新鮮でございました。
研究をしていくと、間違えてしまうのは
よくあることです。
たとえ間違いがあったとしても、
気づいて直せば良いのです。
間違いを恐れずに手を動かして、
その結果から学べるものを引き出すのである、
という教えだと
ボクは理解しているのでございます。